覚醒のエチュード その30

そして無事、秘宝の隠蔽を成し遂げたＣＲは、ニヤリと口を歪ませ大胆不敵な
面構えをしたまま、速やかに家へと向うのだった。

仕事を終え、部屋に入ったばかりのＣＲはまだ若干、引き攣った顔をしていた。
しかし、目の前には一杯のグラスウイスキー＆ポケット瓶。
それを眺めた彼は、いつもの穏やかで優しい表情に戻っていた。

「これで一息つける・・」

孤立無援の裏稼業を営むＣＲにとって、それは束の間の癒しの時間であった。
しかし、飛び抜けた先見力を持ち備えているＣＲという人物は、ただそこでボケッと
休んでいるわけでは無い。

「ううーむ、この酒を飲み終わって、更にさっき隠した酒が無くなったらどうするか・・」

さすが並みの人間ではない。彼はもう、すでに先の先を考えている。
「ＣＲ＝キレ者」と人々から噂される所以は、まさにそのあたりから来るのであろう。

「よし・・あの作戦でいくか」
近来稀にみる策士、ＣＲは遂に火を吹いた。

彼の驚くべき策略はこうである。

つづく。