「I」さんと私 （その３）

「飲み過ぎた翌朝は無性に飲みたい」という私に対し、真っ向から
正反対の意見を述べた「I」さんと私は、微妙なわだかまりを残しつつも、
相変わらず仲良く二日酔い合戦みたいな毎日を送っていました。

とは言え、二人の間にちょっとした深めのクラックが入ってしまった
のは事実でした。

私はその頃から、実際はちょくちょく連続飲酒連休が始まっていたの
ですが、あの意見の食い違いゆえ、「I」さんにも連休の本当の理由は
言えなくなっていました。

その(連続飲酒の)連休明けは、「いやぁ、まったく参ったよ」と、まず言って
から「タチの悪い風邪にかかったらしく異常な発熱が何日も続いてしまった」
と言ってみたり、「遠くに住んでいる私のおじいさんの具合が悪くなった」とか
言ったりしていました。

しかも、私はその嘘っぱちの理由を使い回せるように、「俺は子供の頃から
身体が弱く熱が出やすい体質で、それは今でも治ってないんだよ」と職場
では言い触らしておきました。
また、どこか遠くに住んでいるという、私の架空のお爺さんは、何度か危篤を
繰り返した末、ついにはお亡くなりになりました。